大変高額な入所金を求められる都内の有料老人ホームを拝見してきました。

金額もさることながら、介護事業者の志の高さがとてもすばらしかったですね。

コンセプトは「自宅」。

低層な高級住宅街をわざわざ選び、周りの借景を利用し、高くは建てられなくてよいので、家に住んでる環境を提供する。

うんすばらしい。さすが老舗でした。

そもそも地主さんが建築会社やハウスメーカーに依頼して立ち上がる高齢者施設と、介護事業者が依頼して立ち上がる介護施設には当然ながら差が出来ます。

介護事業者が建てるときの視点は高額の建築費を発注する施主でありながら、住まう人と介護士の両方を看る目、そしてコスト管 理に厳しい経営者の目も持ち合わせます。

したがって、やみくもに建築費が高くても入所者が困りますので、マーケットニーズに合わない規模の土地や建物を手に入れるこ とはなく、また管理や人の動線で不具合ができるような設計図面にも目を配ります。

「コスト意識高く価値あるものをすべての人に。」こんな感じでしょうか。

残念なことに建築会社が主導して施主に建ててもらい介護事業者に借りてもらう場合には、重い建築費が固定資産税と家賃に跳ね返ります。

施主(地主さん)の負担する固定資産税は高額になりますし、それをまかなうために介護事業者に要求する家賃レベルも高くなります。

そして介護施設に住む方の入所金や利用料も高くなってしまいます。

「建築コストを一定レベル以下に落とすこと。」

施主・介護事業者・入居者が永続するために最低限必要なキーワードの1つだと思います。

建築会社だけが一人勝ちしてはいけないんだと考えさせられます。

建物の見た目の質を落とさずにコストを落とすことをバリューエンジニアリング(VE)

建物の見た目の質を落としてコストも落とすことをコストダウン(CD)

といいます。

高級志向もよいのですが、特に価値を維持したVEは良い価値を長く提供するうえで必要不可欠な考え方ですね。

建築コストを効率的に落とす技術についても弊社は注力していきます。

「エリア・景色がよい」

「建物がよい」

「人がよい」

この3つで入所者さんが申し込みを決めるのだ、という介護事業者の役員のお話しがとても印象的でした。