地主から借りている土地(借地権)の上の建物を建て替える場合、地主との関係が良好であるかどうかが大変重要となります。

あるお客様が先代から借地権を相続した際のお話しですが、先代と地主が長らく会話をしていなかったため、地主との(感情的な)距離感が全くわからず、相続した息子が地主に会いにいってやっと状況がつかめたという例がありました。

お話しによると、地主さんとは会話はできる状態だったそうですが、あまりに古い借地契約書をベースに関係性を紐解かなくてはいけなかったため、ほぼゼロから協議をすることになったそうです。

息子さんは古い建物を建て替えてなんらか集合住宅を建てたいと考えていたのですが、いかんせん現金がありません。よって、この借地権という土地の権利と建物を抵当にいれてお金を借りるしかなかったわけです。

しかしながら、金融機関は借地権と建物を担保にお金を貸す際、必ず地主さんから「借地人がローンを借りることを認めます」という趣旨の承諾書を取り付けることになっています。

これが入手できないと、借地人は取り壊し費用や建築資金を借りれないことになります。

仮に弁護士と共に裁判を起こして借地人の地位を確保するような動きを取ったとしても、この地主からの「融資承諾」の取得は裁判所が力を貸してくれるものではないので、多くの場合は任意で交渉をしなくてはなりません。

しかも必ずしも地主から承諾を取り付けるという結果を弁護士が導けるものでもないので、結果として不調に終わることもあります。したがって、建て替えること自体は可能でも、お金が借りられず、借地権自体を有効に活用できなくなります。

借地人には酷な大変厳しい事例といえます。

普段から地主さんとは良好な関係を維持することが借地人の心得といえますね。地主さんとは1年に1回で良いので定期的に会話をするようにしたいものです。