企業経営において、不動産は重要な役割を占めています。
ワークプレイスや工場、店舗、寮など、会社の活動と密接な関係にあります。
不動産と企業経営は、いくつかのかかわり方があります。
ここでは次の4つに分類したいと思います。
(1)本業の売上およびコストに直結するもの
営業拠点(支店や店舗)、製造拠点(工場、倉庫)など、
メインの売上と売上原価・製造原価に関わる不動産です。
一般に、所有している場合と賃借している場合があります。
(2)本社、コールセンター、サーバー
販売管理費に関わる部分で、総務部や人事部、
バックオフィスなどに関わる不動産です。
こちらも所有している場合と賃借している場合があります。
(3)福利厚生施設
会社の寮や借り上げ社宅、別荘地などの保養所など、
福利厚生に関わるものです。
最近は減少傾向にありますが、従業員と会社の繋がりを強化する目的で
「会社寮」が復活したりしています。
(4)資産運用
この資産運用は、本業部門に整理されない点で
上記3点と大きく異なります。
賃貸収入や転売を目的とした不動産収益の獲得を目的とします。
財テク、資産の有効活用、不動産投資、賃貸経営などと
表現されることも多いです。
収益の別の柱として売上または営業外売上を構成します。
時々経営者のかたで、「うちみたいな会社が不動産経営とか
やましいことを考えてもいいのかな」と仰る方がいらっしゃいますが、
家賃収入を得ることは決してやましいことではありません。
本業との区別や優先順位は常に考えておく必要はありますが。
昔の繊維業界が衰退する過程で、所有していた繊維街の工場や作業場は
続々とテナントビルに変わって言った経緯があります。
「〇〇紡ビル」という名称のビルはその昔、
紡績の工場があった場所がテナントビルに建て替わった名残です。
(4)の資産運用は「現金や借入を使って利殖する」ことが得意な経営者にはハードルが低いです。
遊んでしまっている土地や建物があれば、資産運用を視野に入れる必要があります。
また、(1)~(4)は全く違う分野ではありますが、
正しく判断して適切に使えば不動産はいずれにも役に立ちますので、
特に不動産を所有しているかたは、「(1)より(4)のほうが有効なのでは?」というふうに、
固定観念にとらわれず、弾力的に考えることが経営面でとても大切です。