リフォームするとき、または建物を建て替えるときなど、長らく利用していた古いテナントが退去することがあると思います。
この際に困るのがテナントとの原状回復費用をどう決めるかです。
現在の形式での賃貸借契約書には、「原状」を定める「資産区分表」「工事区分表」「貸方基準書」などを書類を添付することが多く、
「原状」=「入居した時の状況」を証拠して添付しています。
少しでも定めている表や書面があれば退去時とのテナントとの協議に役に立ちますが、
古いテナントの場合には、そのようなものがついていないことも多く大変悩ましいことが多いです。
このようなときには結局のところは、貸主・借主ともそれぞれが記憶している「入居した時の状況」を頼りに双方で協議して進めていくほかありません。
契約した時の担当者が変わってしまいそのような記憶も残っていない場合には、その後に行った工事やリフォームした時の内容を確認します。
たとえば「このブラインドはオーナーに頼んであとからつけてもらったもの」とか「このエアコンはテナントからの要望でテナントが自分でつけたもの」など、
テナントかオーナーの記憶により進めていくことになります。
代替わりしたオーナーよりは日々空間を使っていたテナントのほうが詳しいことも多いので、双方の情報を組み合わせて歩み寄ることが大事です。
なお、入居した時の「オフィス空間の形式」と「現在のオフィス空間の形式」は大きく異なる部分も多いです。
OAフロアの有無はその最たる例でしょう。
オーナーからしてみれば、原状回復工事を実施するタイミングでできるだけ最新の設備に入れ替えたいものです。
ですが、テナントから考えれば入居したときになかった設備を負担させられるのは筋違いになります。
オーナーとしては、テナントが負担する原状回復費用相当額を利用して、最新設備にする工事費用に充当するのが現実的になります。
なお、オーナーにとって、敷金の返還額を小さくしたうえで返還するかということをかんがえるわけですが、オーナーの今後の運用方針によってテクニックが有効な場合がありますのでそのような場合には個別にご相談を頂ければと思います。