元本返済額と減価償却額を比較しよう①からの続きになります。
①では賃貸経営において、自分のお金のながれのうち、元本返済額と減価償却費を比較しましょうというお話しでした。
なぜこれを比較するとよいのでしょうか。
一般にお金の流れと会計・税務の流れは少々異なる、というお話しを聞いたことがあると思います。
金利返済は会計・税務上は「費用」「損金」といった、「事業におけるマイナス項目」としてとらえられますが、元本返済はお金は出ていくものの、借りていたお金を返すだけなので「事業におけるマイナス項目」とはとらえられません。
ですから、所得税や法人税を支払うえで納税額を小さくする効果はありません。損金にならないというわけですね。
一方で減価償却費はお金は出ていかない一方、建物の劣化に相当する分は建物価値が減るので、会計・税務上は毎年費用が発生している、と理解して処理することができます。
つまり、「事業におけるマイナス項目」になるけれどお金は出ていかない、ということになります。
元本返済と減価償却費がまったく逆な項目になっていることがおわかりになりますでしょうか。
このことから、元本返済額>減価償却費になっている場合、お金が多くでていくわりに損金が小さいため納税額が大きくなります。
一方、元本返済額<減価償却費になっている場合、お金が少なくでていくわりに損金が大きいため納税額が小さくなります。
つまり、賃貸経営では、元本返済額<減価償却費となれば、お金が手元に多く残るというわけですね。
実はできるだけ多くのローンを借りて賃貸経営をしているかたはなかなか元本返済額<減価償却費にならないのですが、できるだけ元本返済額<減価償却費になるようにするには、
①ローンを1年でも長く借りる
②購入するときにリフォームなどして減価償却費を大きくする
(その分だけ家賃も上がらないといけないですが)
③自己資金を使うなど、元本返済額を減らす
などの策が有効、ということがわかりますね。
ぜひみなさん、このように元本返済額<減価償却費となることを目指してお金の流れを仕組んでいただきたいと思います。