集合住宅、ビル、店舗、工場など、新規に建築工事を発注する場合、とにかく気を付けていただきたいポイントが2つあります。
難しい事ではないのですが、知っていないとできないことですのでどんな場合にもぜひ工事会社に依頼していただきたいと思います。
1.工事金額を決定して発注する際には必ず「あらゆるすべての材料のスペックを明記」させる
工事の内容というものは、発注後、立ち上げ期間中にも得てして変更が起きます。
金額を確定した時のスペックを細かく確認しておかなければ、工事会社より、
・工事内容が重くなった場合には追加代金を請求され
・工事内容が軽くなった場合には減額されない
ということが起こりえます。
このような不適切な処理は、小さい会社、モラル感の低い会社ほどたやすく起こりますし、施主は気が付かないところで食い物にされるというリスクを追っています。
建設工事発注という行為そのものが「情報格差のある施主にとって不利なもの」という認識が必要です。
金額決定したときの材料の詳細(品番・型番・数量・単価等)がわかっていれば、あとから変更があっても公正な金額修正が可能となります。
2.完工時に残額すべてを支払うのではなく3~5%分の支払いを保留して竣工図書整備後に支払うという約定を最初にする
工事代金は着工時、上棟時、完工時の3回に分けて支払う約定を請負契約ですることが一般的です
(工期と工事規模が大きい場合には上棟時を無しにして、着工時・完工時に2回にすることも多いです)
完工すると工事会社はすべての仕事を終えたことになり、約束通り残りの金額すべてをできるだけ速やかに回収にきます。
ここで施主が破産したり倒産したりするととりっぱぐれるためです。
ですが、建設会社側が比較的忘れがちでちゃんとした成果を出さないものとして、施主に対する「竣工図書の提出」があります。
小さい建設会社であるほど、どのようなものを建てたかという「竣工図書」を整えません。
たとえば小型のアパートなどの場合、一般的な平面図までは提出してきますが、設備図面や矩計図(かなばかりず)、水道管図面・電気関係図面などは省略しがちです。
もちろん鉄筋・鉄骨造のオフィスビルやマンションなどの場合はもう少ししっかりしていると思いますが、
現場の施工が完了すれば仕事の大部分が終わったと理解し、図面の作成や提出が後回しになりがちです。
図面類は将来において建物を売却したりリフォームなどを行う際に大変重要なものです。
できるだけ詳しい多くの種類の図面を手元に保管しておくようにするべきです。
これらを完全に履行させるためには、最後の完工時の支払いをたとえば60%ではなく、57%と決めておき、別途に竣工図書提出時に「3%」と決めることが望ましいわけです。
これは建設工事会社との契約時に交渉すれば設定することが十分可能です。
ですが、ひとたび契約を済ませてからあとから追加で変更することは難しいので、ぜひ最初のタイミングで実施しておきたいものです。