水路とは農業用水を確保するために農地内に張り巡らされた公的な水の流れのことをいいますが、
農地が宅地に転用される際、物理的に明確に区別がなされずに水路にふたをされることで
宅地と一体として利用されることがあります。
大きい工場の空き地部分や商業施設の駐車場用地として利用されるなどのように、
更地状態で建物が載っていない状態であれば、自分たちで使っている分には問題はほとんどないのですが、
コンビニや店舗として賃貸する場合など、土地と建物を一体として第三者に貸す場合には、
建物がうえに載っていない状態であってもやや具合が悪い状況になります。
水路の敷地(水路敷)はあくまでも市や町などの地方公共団体に属する財産なので、
それを宅地と隣接しているからと言って、勝手に第三者に賃貸することはできないからです。
たとえば、コンビニに土地と建物を賃貸したとして、
駐車場部分に斜めに走っている蓋付きの水路があったとして
「ここは水路だから使わないように気を付けてね」といっても
コンビニの従業員や利用者さんは区別することは事実上できず、
だまって水路上を走ったり利用してしまいます。
水路の所有者でもない民間の1個人が水路を勝手に他人に貸していることになってしまうわけです。
また、水路の上に建物を建築することもできません。
更地の状態であれば水路のうえは(ただの駐車場だと主張するなど)利用していないと主張することも可能かもしれませんが、
民間所有の建物が水路のふたのうえに載ってしまうと、行政は民間の第三者に貸していることになり、
行政とのあいだで借地契約が必要となります。
それに気が付いたときに、あとから「建物が載っちゃってるから借地契約書を作ろうよ」と行政に言いにいっても
認められない可能性があります。
このような、「勝手に賃貸」「建物を敷設」している場合に行うべき対応方法としては下記のようなものがあります。
・行政から賃借してもよいという承諾をもらう(建物敷設の場合にはその旨も)
・行政所有の水路を移動させて、公共の道路に並べて水の流れを維持する(民間の土地と交換することになりますが、それを「付け替え」といいます。)。
いずれの場合も簡単にできるものではなく、行政における、土木事務所、河川事務所、水利組合等と協議をしてその可否を協議する必要があります。
水路とはもともと農業において重要な施設であるため、
現在は水の流れがないからと言っても、
簡単に廃止したり民間の土地に混ぜて使ってしまえるものではないことを知っておく必要があります。