いつの時代もオーナー(甲)とテナント(乙)で揉めやすいのが「原状回復工事を行う工事業者」です。

最新の賃貸借契約書では工事業者について「甲が指定する業者」または「乙が選定し甲が承諾した業者」と定めているケースがあります。

「乙が選定し甲が承諾した業者」はかなり揉め事となる可能性が低く理想的といえるでしょう。

指定がされていない場合には揉める可能性が大きいです。

オーナー目線で捉える場合、できるだけオーナー主導で工事と折衝を行いたいものです。

とはいえ、揉め事となるポイントは「工事の内容」と「工事の金額」です。

まず、工事の内容については入居時の「原状」を双方でよく協議すべきでしょう(「原状」についてはこちらのブログもご参照ください)。

金額については、オーナー主導とはいえ、相場に対して不相応に高い金額を提示することは揉め事の元になりますので、

比較的よく使いなれた(発注した実績のある)工事業者にオーナーに不利にならない十分な工事代金を提示してもらうことが必要です。

テナントが工事代金を見積もりしてきた場合には、それとは別にオーナー側でもニュートラルに全く別の工事内容の見積もりを取得することが理想的です。

テナント側工事内容に不備があったり、不相応に安いスペックのものを提案されている可能性があるからです。

原状回復工事の実施そのものについてですが、テナント側は退去してしまう後の空間には全く関心を持っていないのに対してオーナーは次のテナントを誘致できるか否かの大切な内容ですので、できるだけオーナー側による発注ができるように交渉したいものです。