会社が不動産を保有することについて

1つお伝えしたいと思います。

そもそも会社とは継続的な経営をする事業体です。

会社の経営を継続するためには、

いつもそこに会社があって

連絡が取れて期待通りのサービスや商品を提供してくれると

顧客に思わせなければなりません。

つまり継続して進んでいるという「信用」があると認められたくて

日々活動をしているわけですね。

信用を形づくるには、

資本金や売上、従業員数やブランドなどがありますが、

意外に根強く考えられている手段の一つが

「本社ビル」または「自社ビル」ですね。

土地や建物を持っていることが

大きいブランドや信用力として

今なお日本人の概念に深く根付いています。

日本の国土の平坦地が3割、7割は山地、

平坦地のうち宅地として利用できるのは約15%以下と言われています。

そんな日本がGDPで世界第三位の経済大国。

活動エリアが限られている一方、

経済はぐるぐる回っていますので、

平坦地の希少性は高いわけです。

また歴史的にも

荘園制度やら農地解放やら財産権の確保やら

土地を巡る話題には事欠きません。

明治時代以降代、

個人・法人の不動産に対する所有権制度が確立し

流通性が確保させると

担保としても大きな役割を果たし

経済の基盤となっているわけです。

そもそも日本人は不動産の好きな民族であると言えます。

ところで空きビルを売るとき、買う側の属性は大きく二つにわけられます。

一つは投資用物件として他人に貸して儲けようと考える人で、

もう一つは自分で使うために買う人です。

実は他人に貸すための金額と自社利用のための金額は価値の概念が異なります。

自社で使う場合のほうが価値が高くなることが時々あります。

その理由こそ、この「信用力」の確立にあります。

人に貸して儲けることよりも

信用力を確保して自社で使うことによる経済効果のほうが

高い場合があるということです。

信用力だけではなく、

バックオフィス確保による業務効率アップ、

従業員の安心感やコミュニケーション力向上、

家賃を払い続けても自分のものにならない、

などなど、いろいろな理由がありますが、

いずれもいろいろな意味での「信用力」につながっています。

このような信用力の基盤を確立してしまうと

自社ビルを案外手放せなくなるのはもっともだと思います。

しかしながらその一方で、

2000年前後から資産や負債を増やさず

軽く会社を経営していきたいという考え方も育ちました。

「オフバランス経営」ですね。

本社ビルにお金をかけず、その分の現金を投資活動や営業活動に使うという考え方です。

成長スピードや資本効率を重視したり、

株主への配当や株主利益を重視する考え方といえます。

どちらが正しいということはありません。

各社が置かれている

外部環境、内部環境、財務体質、営業戦略、経営理念などによって

答えは様々です。

先代から引き継いだけど使っていない土地や建物を見直すことも必要でしょうし、

事業拡大局面で信用力を確保することが次の一手なら、

本社ビルを購入することもまた正しいこともあります。

資産を入れ替えずに建て替えたり延命することが正しいこともありましょう。

正しい選択は各社の置かれている事情により様々だと言えます。