施設というとどうしてもお金の額に見合うだけの価値があるのかどうかが気になります。

先日、とある世田谷区にお住まいの92歳のおばあさんについて、
同居の長女さんが一人で頑張って介護をしてきたのですが、
最近認知症の悪化がひどく、
さすがに在宅での介護には限界があるとのことで、
思い切ってホームを探すことになり、
お声を頂戴しました。

でも予算が月額15万円。
要介護度4でこの予算はかなり厳しく、
世田谷区内では特別養護老人ホームでなければ
探すことはできません。
サービス内容を満たすためには土地代の安いところを選ばざるを得ず、
ご縁があって、
茨城県の住宅型有料老人ホームをご案内することになりました。

ホームページなどで知ってはいたものの
実際に見るのは初めて。
長女さんと一緒に見に行ったら
予想以上にきれいな建物。

そして、廉価な施設にあるあるなパターンとして、
介護する人手が足りておらず、
居住者が半ば放置されていることが多いわけですが、
ここはちゃんと手が行き届いているスタッフの体制があり、
なおかつ、お部屋も明るくとても楽しそうなレクリエーションの様子が見られました。

やや忙しそうではあるものの、
働いている職員さんもてきぱきとこなしていきます。
活気とやる気が伝わってきました。

放置なのではなく数人で協力しながらちゃんと対応して切り回しています。

廉価だから手抜きをしている、ということは全くなく、
やるべきことをしっかりやるという
経営者と施設長さんのポリシーがしっかり伝わってきました。

また、案内してくださったのは本部の営業担当のかたでしたが、
現場に常駐していないとはいえ同じ会社の営業担当であり、
施設長さんと二人三脚で会社の目指す方向に
向かっていくような説明ぶりでした。

これは素晴らしい。

以前に聞いたお話で、
経済的に困窮する「下流老人」が住める施設は
特別養護老人ホームしかないとのことでしたが、
こちらの施設では、
経済的に余裕のない高齢者でも
施設に住みたいという社会課題を
しっかりとビジネスの手法で解決していました。

どうしてもパンフレットや写真だけではわからないことでも
施設を見学にいくと、ちゃんと経営者や管理者の理念が見えてきます。

豪奢で高そうな部材だらけの高級ホームを見るよりも
とても価値のある見学でした。

普通に取り組んだだけでは介護のサービスの限界にくじけそうなところ、
民間の経営手法が乗り越えていく技を目の当たりにした一日でした。