今日は、最近ご相談が増えている「両親ともに老人ホームに入った方がいいのか悩んでいる」というテーマについてお話しします。

自宅での介護が限界に感じはじめたとき、ふと「もう施設を考えた方がいいのかな」と思う瞬間、ありますよね。
でも、「母も父も両方入れるべき?」「片方だけ先に入っていいの?」と、判断がとても難しいのも本音です。

そんなとき、私たちがいつもお伝えしているのは「正解は家庭によって違う」ということ。
ただ、判断のヒントになる“3つの視点”を知っておくことで、グッと迷いが減ります。

視点①:それぞれの「要介護度」と生活の困りごとを整理する

まず最初に見てほしいのは、お父様・お母様それぞれの生活状態です。

  • 日常の動作(食事・排せつ・入浴など)がどこまで自立しているか
  • 認知症の症状があるかどうか
  • どんな介護サービスを今受けているか
  • ご本人が「家で暮らしたい」と思っているか

要介護度が高い、認知症が進んでいる、夜間対応が必要…といった状況であれば、施設での生活が安全・安心につながることも多いです。

一方で、軽度の支援だけで日常を送れている方なら、自宅での生活を続ける選択も残されています。

視点②:「どちらかだけ入居する」メリットとデメリット

実は多くのご家庭が、最初は「どちらかだけ」からスタートされます。
2人部屋が空いていないとか、今は空室が1人分しかない、ということも時々あります。

ご家族のかたがよく考えることは、

  • 認知症が進んだお母様を施設に入れて、身体が元気なお父様は自宅で暮らす
  • 足腰の弱ったお父様が施設に入り、まだ元気なお母様は通いで面会に行く

こうしたケースでは、介護の負担が一気に軽くなり、家族の心と身体にゆとりが生まれます。
「介護うつの一歩手前だったけど、今は笑顔で会話できるようになった」という声もよく聞きます。

ただし、「一人にするのがかわいそう」「離れるのは心配」というお気持ちも、もちろんありますよね。

自宅での介護と施設での介護はそもそも機能や環境が大きく違います。

介護のプロではないご家族が二人を同時に見ていたとするなら、

ご本人たちが離ればなれになるのは残念ですが、手厚い支援が必要なほうのおひとりだけでもプロに任せることによって、家族の負担は大幅に軽減されます。ご家族は「介護者」から「家族」に戻れるのです。

ここで大切なのは、“入居=家族が離れる”ではないということ。
月に何度かは、家に残る一人もご一緒に施設に会いに行き、ゆっくりお話をすることで、
在宅介護中にはなかった“家族の時間”を取り戻せます。

視点③:両親同時入居のメリットと予算面

「両親が一緒に入れる老人ホームなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、実際にあります。
最近では「夫婦部屋」や「ご夫婦で同じフロアに入れる施設」も増えています。

同時入居のメリットは、

  • ご夫婦ともにお互いに安心感がある
  • 家族が同じ施設に通う手間がない
  • 入居を説得しやすい(どちらかだけより受け入れやすい)

といった点があります。

ただし、費用は個室×2ですと当然ながら2人分になります。
2人部屋(夫婦部屋)ですと家賃や光熱費が2倍よりは多少割安になったりしますが、食費などはしっかり人数分だけ必要になります。

予算に限りがある場合は、「どちらかだけ民間施設へ」「もう一人は特養の順番を待つ」といった組み合わせもありますが、よほど仲が悪いのでなければ安さを求めて多少遠いところになっても二人とも同じ施設に入ることをお勧めしたいです。

最近は、不動産や金融商品の売却で資金をねん出するご家庭も増えているので、「お金がないから無理」と思い込まずに、選択肢を一緒に探してみましょう。

迷ったときは「どちらの生活が安全か」「介護者が倒れないか」で考える

両親ともに入れるべきか、どちらかだけか。
これは、本当に正解がありません。

でも、ひとつだけ確実に言えるのは――
介護する側が倒れてしまう前に、一歩踏み出すことが何よりも大切だということです。

「このままじゃダメかも」と感じたときが、最初のサインです。
ぜひご家族の状態を書き出してみて、施設入居の選択肢を前向きに考えてみてくださいね。

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