不動産の売却を考える際に、

経営者が最も大切にすべきことはなんでしょうか?

カネや資金の問題や人の問題ももちろんあるのですが、

やはり経営の成績表である「決算書」に

どのような影響を及ぼすかが最も大事でしょう。

金額が大きい不動産を処理するには、

損益決算書にも貸借対照表にも大きな影響を及ぼします。

その影響を無視するわけにはいきません。

かなり古い話ですが、ある大手の運送会社が、

保有していた2つの資産を同時に売却処分しました。

当時私は、そのうちの一つである三重県の旧倉庫を

会社で購入させて頂く担当をしていました。

たまたまそのころ、

私の所属する部署の隣の部署が新潟県の商業施設を

購入する準備をしていました。

あとからわかったことですが、

この2つは同じ運送会社が保有する資産だったんですね。

別のルートで2つの資産を処分するつもりだったのが、

いずれも自分の勤務先の会社が購入することになったんですね。

私の担当する倉庫の売却により

運送会社は利益が出るというお話でした。

かたや新潟の商業施設は売却により

損失が出るとのことでした。

運送会社は2つの資産を同時期に売却することで、

利益と損失を同時に発生させ、

本業への影響を最小限に食い止めていたのでした。

会社経営では決算期を見据えて

資産を動かすことが肝要です。

本業の調子の良い時期に損失の出る資産を売り、

本業の調子の悪い時期に利益の出る資産を売るのが常套手段ですね。

計算ずくで決算期をまたいで直後に売却することも有効ですし、

決算期直前で売却することもまた手です。

建物を建てるなどの投資をしたり

リフォームすることも同様です。

高額の経費が発生するタイミングも

細かく理解しておきたいですね。

時価を確かめ、

利益と損失の程度を確かめて、

本業の成績に合わせて処理する。

資産処理による決算作りは

経理や財務に任せきりにせず、

常に経営者自身があたまのなかにインプットしておきながら

進めていただきたい大切な事項です。