とある会社の経営コンサルタントから
こんなご相談をいただきました。
「この土地と建物は売れるんでしょうか?」
いわゆる市街化調整区域のなかにある土地と建物です。
先代の創業者が建てたご自宅ですが所有者は「会社」。
いまはほとんど有効に使っていないそうです。
売却できれば銀行に返済して会社の債務を減らせますし、
できなければほとんど収益をあげない「資産」であり続けます。
どちらが良いかは経営目線では火を見るよりも明らかです。
問題なのは「市街化調整区域」の土地建物という点ですね。
なにが問題なのでしょうか。
市街化調整区域とは、
「無秩序な開発を防ぎ、
計画的な市街化を図るために定められた
都市計画区域の区分の一つで、
当面の間は市街化を抑制すべき区域」
と説明されています。
要するに、
更地があっても、原則として
建物を建てて使うことを
行政が認めていないエリア
と言えます。
普通の「市街化区域」であれば、
都市計画法や建築基準法など
建物を建てる時に守るべき法律を守れば
建物を建ててよいことになっています。
ですが、そもそも市街化調整区域内の土地は
建物を建てること自体を原則的に
認められていないんですね。
そんななかですでに建物が建っている。
ということは、
・なんらか行政に届出をしたり許可を取得して
合法的に建てた
・届出等をせずに勝手に違法に建てた
このどちらかになります。
違法であれば、当然ながら今後建物として
使ってはいけない可能性も高いですし
場合によっては行政から撤去の命令が
下るかもしれません。
でも合法的であれば建物は使ってよいことになります。
ですが、もう1つ気を付けなくてはいけない落とし穴があります。
それは、
「一代限り」
というルールです。
すべての市街化調整区域の建物が
これに該当するわけではないですが、
特別に許可を得て建てたものについては、
一代限りにおいて使ってもよいが
建てた人から譲り受けた人は
使ってはいけない
という場合があるのです。
こうなってしまうと、
買った方はもう建物を取り壊して
家庭菜園でもするしか
なくなってしまいますね。
市街化調整区域の建物は法律的に
「どういう根拠で建ったのか」を
よく確認する必要があります。
不動産の処理は、
正しい資産価値を把握するところから
経営改善を図りたいものですね。